奈良県十津川村、谷瀬のつり橋
前回のつり橋がらみで、違うスポットを紹介しましょう。
関西地区の方ならご存じの方も多いでしょう。
『谷瀬のつり橋』
です。
この橋の何が有名かと言えば、人が渡る生活道、人道橋として日本一の長さを誇っていたものだということです(現在は日本一ではない)。
人が渡ると、つり橋も揺れます。
谷底までもかなりの高さがあるので、高所恐怖症の人など苦手な人もいるようです。
奈良県というのは、東大寺の大仏や奈良公園の鹿で有名ですが、実は紀伊半島の真ん中の山間部のほとんどを占めてしまうほどのふところの深さを持つ大きな県なのです。
なので、奈良県の大部分は山間部にあり、つり橋のある十津川村は奈良県のそんな山の中の最南端にある村です。
昔、司馬遼太郎さんが『街道をゆく』というシリーズものの紀行記を書いていましたが、その中に十津川村の谷瀬のつり橋を書いたものがあり、大変印象深かったことを憶えています。
橋の対岸に住む人は、昔から川を渡るのに大変な苦労をしていたようで、そんな人々が自らのお金を出し合ってつり橋を建設したという話です。
橋が出来たのが昭和29年というので、終戦後間もない話です。
大卒の初任給が7,800円程度だった時代にあって、人々は20万円~30万円ほどのお金を出し合って建設したという話ですから、現在の感覚で各戸600万円~1000万円ほどの身銭を切ったという話なのでしょうか、
いずれにせよ大きな金額です。
それほどの負担をしてまでも、生活道としての橋が欲しかったのでしょう。
人間が地面にへばりついて懸命に生きる姿が思い浮かぶようです。
さらには、北海道に新十津川村というところがありますが、ここに住む人の祖先は、明治時代に奈良県の十津川村から移住したという事です。
涙ぐましい北海道開拓の礎だったわけです。
そんな谷瀬のつり橋のある十津川村ですが
キャンプ場があり、つり橋以外にも南へ足を延ばせば十津川温泉があり、山深いところながらも休日や行楽シーズンはたくさんの人でにぎわうスポットです。
私は昔からこのあたりの秘境めいた山ばかりの景色が好きで、大阪にいた頃は、よくオートバイに跨って、この地域を走ったものです。
大阪から十津川村に行くには、阪和自動車道から京奈和自動車道を経由して五条ICまで行く方法が一番いいと思います。
五条からは、国道168号線を南下、一本道で行けるのでわかりやすいと思います。
今は、168号線も随分と整備されて、道も新しく走りやすくなりました。
スピードに注意して走行してください。
それでも、十津川村までは時間がかかります。遠いです。
大阪市内からだと、ざっと4~5時間、五条ICからでも2時間前後かかります。
のんびり1泊するつもりで走るのもいいかもしれません。
新緑の季節、深い緑と川の流れを見ながらのドライブ、おすすめです。